懐中電灯 懐中電灯の先の丸い部分の中にある銀の小片に光が反射して、 僕の部屋には予想もしなかった幻想的な美しい光が照らし出された。 さらに振ってみると、光は赤から黄、そして青へと変わっていった。 僕はまるで夢でも見ているような気持ちでその光をしばらくの間見つめていた。 僕の中でまた夕美に対するイメージが少しずつ変わり始めた。 「おみやげ届いたかしら」電話の向こうで夕美がささやくように訊いた。 「ああ」 「気に入った?」 「うん、特に懐中電灯がきれいだね」 「そうでしょう。最初見たときは『何だこれ?』って感じなんだけど、つけてみるとびっくりでしょう?」 「こんなにきれいだとは思わなかった」 「私も持ってるのよ」 「オルゴールもいいね」 「よかった」 「ねぇ夕美、七月七日の夜は空いてるか?」 「ええ。来てくれるの?」 「ああ。仕事が終わったら君のところに寄るよ」 「フフ・・・・・・」 「というのは冗談で・・・・・・、七日の夜、電話で乾杯しないか?」 「いいわね」 このページのコンテンツを表示するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 Tweet