待ち伏せ 川島さんとの打ち合わせを終えて僕が扉の外に出ると礼子がいた。どうやら彼女は僕を待ち伏せしていたようだ。彼女は一瞬薄気味悪い笑みを浮かべた。僕は先日の電話で、彼女がまた、よりを戻したと勘違いしているのじゃないかなと思った。僕は何も言わず彼女を振り切って帰ろうとした。 「なぜ逃げるの?」と礼子が僕の背後から声をかけた。 「別に逃げているわけじゃない。でも、君はいったいなぜこんなところにいるんだ」 僕は急いで彼女の会社を出た。僕のあとから礼子がついてきた。 「もう俺たちは終わったんだ。こんなことはもうやめてくれ」 「私だってこんなことしたくないわ」 僕たちは路上でしばらく睨み合ったまま立ちすくんでいた。しかし、こんなところを礼子の会社の連中に見られるとまずいので、僕は駅の方に向かって歩きだした。 このページのコンテンツを表示するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 Tweet