耐え難いくらいみじめな気分 あと一週間で会社を辞めることができる。それでも、この会社にいるときは僕の気分は優れない。特にこの数週間は、ひどく気怠い脱力感に支配されていた。僕は少しでも時間が空くと、漫画の仕事のことを考えることにしていた。 僕のデスクの電話が鳴った。内線だった。 「所長が一階の喫茶店にいるから来てくれって」と総務の女が言った。僕は言われた通り、その喫茶店に行った。奥のテーブルに、いつもの何食わぬ顔で所長が座っていた。 「何でしょうか?」と僕は訊いた。 「本日付けで退社しても構わないが」 「え」 お前にはもう用はない。お前がいつまでもそうやっていると、社内の人間たちに悪影響を与える。一刻も早く辞めてくれ。 僕は所長の顔からすべてを読み取った。 昼休みのあと、所長は、僕が本日付けで退社することを社内に発表した。僕は簡単に挨拶を済ますと、残っていた仕事を片づけるためにデスクに戻った。 僕は耐え難いくらいみじめな気分で会社を去っていった。 このページのコンテンツを表示するにはJavaScriptを有効にする必要があります。 Tweet